かっきかっけ

 右手にハサミを持つ。刃を開く。刃と刃の間に透明な空間ができる。そして、私の指の動きひとつで、その世界は二つの刃に挟まれて、消えて失せる。ハサミの刃と刃の間には虹がかかる。懸命に生きている人間の命のような美しい虹がかかる。それはステンレスの刃が反射する光だ。たった一色の虹。刃の架け橋。光の橋。ちょきん。